発掘調査とは
発掘調査とは、ただ単に土の中に埋まっているものを掘り出すだけなく、昔の人たちがどんな生活をしていたのか、どんな出来事があったのか、どんな道具を使っていたのか、考古学という学問やさまざまな技術を使って、私たちの歴史を紐解くことです。一度掘ってしまうと二度と元の状態に戻せないため、やり直しがきかない大切な仕事なのです。
なぜ発掘調査をするのか?
遺跡はその場所にずっと保存して未来に残していくことが望ましいですが、私たちが生活するためには、どうしても道路や家などの工事は必要です。
それらの工事によって遺跡が失われてしまう場合に、発掘調査をして記録して残すことになります。
つまり、発掘調査は、そのままの状態では守ることができない遺跡を、図面や写真などの形にかえて、保存するために行っているのです。
このような調査は「緊急発掘調査」といい、我が国で行われている発掘調査のほとんどは「緊急発掘調査」です。
発掘調査には、それ以外に考古学の研究を目的とした「学術発掘調査」があります。
遺構とは
昔の人々が暮らした痕跡で、動かせないものを「遺構(いこう)」といいます。たとえば建物跡や柱穴、井戸などです。
遺物とは
昔の人々が暮らした痕跡で、動かせるものを「遺物(いぶつ)」といいます。たとえば土器や石器などです。
発掘調査の流れ
外業
1. 表土を除去します
土の様子を見ながら、遺跡のある深さまで、表土を薄く慎重に除去します。調査期間や費用をおさえるためにバックホウなどの重機を用います。
2. 遺構を探します
土を除去した後、スコップやジョレンを使って、人の手で道具を使って丁寧に土を削ります。土の色や質の違いなどを手掛かりにして、溝や柱穴などの遺構の輪郭を見つけ出します。
3. 遺構を掘削します
遺構の内部を丁寧に掘削します。一緒に土器などの遺物が見つかることもあり、遺構の時代を決める鍵となります。
4. 測量・図面作成
発見した遺構は、大きさ・形・深さなどを記録するために、測量し図面を作成します。広い範囲を図化する時などは、クレーンで撮影用カメラを吊り上げたり、ドローンを使って空中写真測量を行うこともあります。昔は本物のヘリコプターを使って測量をしていたこともあります。
5. 写真撮影
遺構・遺物が、どこからどのように見つかったのか、一つ一つ写真をとり記録に残します。調査範囲全体を撮影するために高所作業車に乗って、高所から撮影することもあります。
6. 埋戻し
すべての調査が終了すると掘った土を埋戻します。
内業
1. 遺物の洗浄
出土した遺物は土砂などが付着しているため、きれいに洗浄します。遺物には文様や墨で書かれた文字などが書かれていることもあるため、それらが消えないように丁寧に洗います。
2. 遺物の注記
出土した遺物1点1点に、遺跡名や登録番号を墨汁やポスターカラーで小さく書き込みます。多量に出土した場合などは注記マシンを使うこともあります。
3. 遺物の接合・復元
発見された遺物のほとんどは壊れ、破片の状態で見つかります。隣り合う破片を探しだし、接着材を用いて接合します。接合する破片がない場合は石膏などを使って出土遺物を復元します。経験も根気も必要なとても重要な作業です。
4. 遺物の実測
さまざまな計測道具を使って、出土遺物の図面を正確に作成します。遺物の特徴を見極めて図面に表現します。正確に図化するためには経験がものをいう作業です。
5. 遺物の写真撮影
実測図では表現できない、遺物の色合いや質感などを写真で記録します。それぞれの遺物の特徴を伝えることができるように、注意しながら撮影します。
6. 遺構の整理
見つかった遺構を、時代や役割ごとに分類し、わかりやすくまとめます。発掘調査で得た情報を整理して、当時の暮らしを読み解く手がかりにします。
7. デジタルトレース
発掘調査で作成した遺構や遺物の図面をパソコンに取り込み、線や形をきれいに描き直す作業です。遺物や遺構の形を正確に残し、報告書に掲載する図を作成します。
8. 版組み
発掘調査の報告書づくりで、文章や図・写真を読みやすい形に配置していく作業を行います。順番や見やすさを整え、報告書として仕上げるための工程です。
9. 報告書作成
以上の作業を経て、発掘調査の成果として報告書を刊行します。この報告書は、国内の研究機関や大学、都道府県の教育委員会や図書館などに送付し、考古学研究者のみならず、府民の皆様に成果を公表しております。